遠い嵐の領界、天ツ原の地下坑道に
プラチナこうせきの母子が住んでいました。
厳しいお母さんは、子供たちに繰り返し言い聞かせます。

しっかり身体を磨いて、ピカピカにしておくんだよ。
そうすればいつか冒険者さんが拾っていってくれるからね。
1
子供たちはお母さんの言うことをよく聞いて、
毎日身体を磨いていました。

その調子でしっかり磨いてピカピカのカチカチにしていれば、
いつかナドラダイト鉱石になれるかもしれないねぇ。 

お母さんに褒められて、子供たちは一層熱心に身体を磨きます。
プラチナこうせきの何十倍も高価なナドラダイト鉱石さんは、
子供たちの憧れのマトなのです。

プラチナこうせきが頑張ってもナドラダイト鉱石にはなれません。
でも、立派なプラチナこうせきになれるように
毎日子供たちは毎日一生懸命、身体を磨いていました。 

ピカピカの子供たちを見て、お母さんはニコニコです。
でも、お母さんには1つだけ気になることがありました。
それは末っ子のプラチナこうせき。
色も茶色にくすみ、強く磨くと崩れてしまいそうな柔らかさ。
その見た目はまるでふしぎなドロドロのようでした。

見た目のせいで末っ子は兄弟たちから、毎日いじめられていました。

やーい、ドロドロ、ドロドロー!
お前なんか冒険者さんに捨てられてしまえー。
2
それでも末っ子は頑張ってピカピカになろうとしました。
でも、いくら磨いても身体は茶色のままです。

この子は本当にふしぎなドロドロなのかもしれない。
いつのまにかお母さんも末っ子をかばってくれなくなりました。

つらくなった末っ子は、ある日、家出を決意します。
どこか他の場所なら、こんな僕でも受け入れてくれるかも。
末っ子は慣れ親しんだ坑道を出て、迅雷の丘へと旅立ちました。
3
どこかに居心地のいい洞窟はないかしら。
ムストの町を出た末っ子は、北を目指しました。
そして、見つけた洞窟。
そこはまりょくの土が住む洞窟でした。
4
僕は柔らかい土だけど、君ほどみっともなくはないよ。
君、本当にプラチナこうせきかい?

まりょくの土にそう言われて、末っ子はしょんぼりです。
ここにも居場所はないみたい。
そう思った末っ子は、また旅を続けました。
5
翠嵐の聖塔の脇を抜け、2つめの洞窟へたどり着きました。
そこもまりょくの土の洞窟でした。
まりょくの土は言いました。
7
正直ふしぎなドロドロと一緒に暮らしたくはないんだよね。
洞窟を抜けるとあちこちにドロドロが落ちてるから、
そっちに行ってくれないか。

ここでも受け入れてもらえなかった。
がっかりした末っ子は、迅雷の丘の北東へ向かいます。
8
洞窟を抜けると、そこは迅雷の丘の中でも一際嵐の激しい地域でした。
末っ子の身体はひどく痛めつけられます。

こんな辛い思いが続くくらいなら、
いっそここでドロドロになってしまおう。

生きる気力を失った末っ子は、窪地の底でゆっくり目を閉じました。
そんな末っ子を鞭打つように、容赦なく雨風が打ち付けます。
そして、激しい稲妻が末っ子の身体を貫きました。
6
ああ、これで楽になれる。
立派なプラチナこうせきになれなくてごめんなさい。
末っ子の意識は深い闇の中への沈んでいきました。

末っ子の周りで賑やかな声が聞こえます。

あれ?天国じゃなくてまだ迅雷の丘だ。
僕死んでなかったんだ。
末っ子はゆっくりと意識を取り戻し、また沈んだ気持ちになりました。

ヤッタヨーイ!
やっと見つけたよ!!

末っ子に向かって大喜びする冒険者さんの声が聞こえます。

冒険者さん、何をそんなに喜んでいるのですか。
僕はこんなにみっともないプラチナこうせきなのに。

末っ子の問いに冒険者さんが答えます。

何を言っているんだい?
君はこんなに強く光輝く烈風石じゃないか!!
9
そうです、
末っ子はプラチナこうせきでなく烈風石の子だったのです。
あこがれのナドラダイト鉱石さんよりももっと高価な烈風石。
それが末っ子の本当の姿でした。

さあ、いっしょに行ってくれるね。
末っ子は冒険者さんに大切に抱きかかえられました。
嬉しさで涙ぐむ烈風石は、
他のどんな烈風石よりも強く優しく光り輝いていました。

そこで一句
ドロドロは まとめ売りでも低価格 知ってたうー川柳
net