アストルティア一番の穀倉地帯メルサンディ。
穏やかな丘陵一面に小麦畑が広がるメルサンディ地方。
そこでの生活は決して楽ではありませんが、
勤勉な人々は、日々慎ましやかに農業を営んでいました。

そんな平和な村に、ある日1人の女性が姿を現しました。
1
わたしはウールーズ。
ここらにはニードルマンが一杯いて困ってるでしょう?
困ってない?いいえ、そんなことはないわ。絶対困ってるはずよ。
だから、わたしが退治してあげる。ありがたく思いなさい。
2
ピンクの鎧に身を包んだウールーズと名乗る女性は、
村人の話も聞かずにニードルマンを狩り始めました。

確かにニードルマンはモンスターです。
でも、実はそれほど危険ではありません。
ニードルマンの針は様々な農具の材料にもなるので、
その辺にいても村人たちは気にしていなかったのです。
3
ですが、ウールーズは宣言どおり、
村の周辺のニードルマンを次々と狩っていきました。
針が取れなくなると困るなぁと村人たちは考えましたが、
街道沿いが安全になるならと目をつむっていました。
4
ただその狩りの荒っぽさには、村人たちも不安になりました。
数匹のニードルマンをまとめて焼き尽くすのです。
未収穫の小麦に燃え移らなければいいが・・・・
多くの村人たちが、そんな心配をしていました。

ところが、
狩りの場所をどんどん広げていったウールーズは、
ついに収穫前の小麦畑で狩りを始めたのです。
5
村人たちは一斉に抗議しました。
そんなところで狩りをされては、小麦がダメになってしまう。
でもウールーズはお構いなし。
ニードルマンと一緒に実った小麦も焼き尽くしていきます。
6
やめてくれ!
せっかくの小麦も焼けてしまうと食べられなくなってしまう。

それを聞いたウールーズはふふんと鼻で笑いながら答えました。

どうせ収穫したら、粉にして水でコネて焼くんでしょう?
ちょっと作業の手順が変わっただけじゃない。
7
なんて身勝手な言い草でしょう。
村人たちはほとほと困り果ててしまいました。

連日遅くまで対策会議が開かれましたが、いい案は浮かびません。
そんなある日、
対策会議に疲れて眠っている村長に話しかける声がありました。

村長、村長。
今あなたの心に直接話しかけています。
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わたしはニードルうさこ。ニードルマンを守るものです。
このままではわたしのかわいい子供達が絶滅してしまいます。
どうかウールーズを退治してください。
ウールーズの弱点はいい男です。いい男で釣るのです。

そんなことであのピンクの悪魔が騙されるのでしょうか。
村長は半信半疑でしたが、他に打つ手はありません。
祈るような気持ちでウールーズに声をかけました。

おい、お嬢ちゃん。あっちでいい男があんたのことを呼んでたぜ。
確かザンクローネって名乗ってたかな。
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するとどうでしょう。
ニードルマン以外には見向きもしなかったウールーズが、
目の色を変えて村長の後ろをついてくるではありませんか。

村長はそのままウールーズを誘い出し、
まんまと村の牢屋に閉じ込めることに成功しました。
騙されたと気がついたウールーズが騒いでも、もう手遅れです。

何よ!わたしを殺しても無駄よ。
わたしは死んだって楽園の管理端末の前で生き返れるんだから。

殺しはしないさ。ちゃんとパンも与えてやるよ。
ただし、あんたが言ってた先に焼いてから水で捏ねたパンだけどな。
順番が逆でも大丈夫なんだろう?

出てきた食事は、燃えて灰になった小麦をドロドロに練ったもので
とても食べられたものではありません。
お腹がすいたウールーズは反省して、
村人たちに泣きながら謝りました。
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それからのウールーズは、
ちゃんと村人たちの言うことを聞き、
街道沿いのニードルマンだけを退治するようになりましたとさ。

めでたし、めでたし。
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